にっしゃんの中国【日本語】体験記

日本語教師、兼日本語学研究科大学院生の「にっしゃん」が中国生活で感じたことをつぶやきます。スベって、スベって、スベり倒すブログとなっています。

【日本語学科と卒業論文】

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 中国の日本語学科が抱える問題の1つに卒業論文を書きづらい環境ということがあると思います。
 以前私が勤めていた大学のカリキュラムでは、1~2年生の時には、語学(外国語スキル)として、精読・文法・会話・聴解などを学び、3年生では、選択科目でビジネス会話、日本の歴史、古典文法、日本語の作文の書き方などを学び、4年生になると、卒業論文を書かなければなりません。
 カリキュラムは大学によって異なりますが、私が話を聞く限りでは、他の大学にも同じ状況が見受けられます。
 何が問題かと言いますと、日本語学科の学生たちの多くは、主に語学(外国語スキル)としての日本語を学んでいるのであって、決して日本語学を学んでいるのではないということです。
 一般的には、経済学部であれば、はじめに経済学入門というような授業を受け、経済学の基礎を学び、選択科目でより分野を限定した授業を受け、自分の興味と照らし合わせ、自分の専門分野を絞り、それに合ったゼミを選び、卒業論文の指導を受けるものだと思います。
 そういった過程が中国の日本語学科にはほとんどありません。あったとしても、先生たちの専門にも偏りが見られ、学生が興味のある分野と一致しない場合も多々あるようです。
 大学側にも授業数の調整や教師数の確保など十分な環境を整えられない事情があります。そのため、質の高い卒業論文を書くには、学生自身が授業以外に自分の興味のある分野について学ばなければなりません。
 しかし、現実には、学生たちは卒業論文がどういうものかを全く知らないので、十分な準備が整っておらず、4年生になってからテーマを探し、先行研究を探し、思うような先行研究が見つからず、テーマを変え、いつの間にか提出期限が迫り、半端なものを提出してしまっているように思います。
 学生に質の高い卒業論文を書いてもらうためには、まずは先生側が上記のような日本語学科の実情をよく理解し、事前に学生たちに自主的な学習を促していく必要があるのではないでしょうか。